豊永清政のブログ

ツイッターで呟いたことをまとめていきたいと思っております。

日本学術会議を巡る問題を考察すると共に松宮考明教授の主張に反対してみた。

日本学術会議を巡る問題に関わると思われる個所を抜き出してみた。

 

日本学術会議

 

第一章 設立及び目的第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。

日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。

日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。

 (平一一法一〇二・平一六法二九・一部改正)

 

第六条の二 日本学術会議は、第三条第二号の職務を達成するため、学術に関する国際団体に加入することができる。

2 前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府が新たに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。

(昭三一法二一・追加、平一一法一〇二・平一六法二九・一部改正)

三章 組織

第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。

2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

 

7 会員には、別に定める手当を支給する。

(昭二四法二五二・昭二五法四・昭五八法六五・平一六法二九・一部改正)

 
第四章 会員の推薦 (昭五八法六五・全改)
 
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。
(昭五八法六五・平一六法二九・一部改正)

 

第六章 雑則 (昭五八法六五・旧第七章繰上)

第二十六条 内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができる。

(昭五八法六五・全改、平一六法二九・一部改正)

 附 則

第六条 新会員は、新法第七条第二項の規定にかかわらず、前条第一項の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

 

沿革

1949年、内閣総理大臣所轄の下、独立して職務を行う機関として日本学術会議が設立される。

1956年、 日本学士院が独立する。科学技術庁が設置される。

1984年、日本学術会議法が改正されて会員の選出方法が公選制から推薦制へ変更された。

2001年、中央省庁等改革基本法施行に伴い、総務大臣所轄へ 内閣府設置法に基づき、総合科学技術会議設置

2005年、日本学術会議は、再び内閣総理大臣所轄日本学術会議法一部改正会員の選出方法を、日本学術会議自体が選考する方法に変更

2014年、内閣府設置法の一部改正により、総合科学技術会議は総合科学技術・イノベーション会議

 

以下日本学術会議の公式見解を抜粋

 

・戦後まもなく創立された日本学術会議は今年で70周年を迎えました。現在、約87万人の我が国の研究者の内外に対する代表機関




日本学術会議日本学術会議法によって、内閣総理大臣の所轄機関であり経費は国庫負担とされる。(2001年1月から2005年3月までは総務大臣の所轄機関だった。)

・その一方で独立して職務を行うことが保障され、政府は諮問をすることができ、また政府に勧告することもできることになっている。日本学術会議の意見を政府が尊重することは望ましいが、政府を拘束するものではない。

 

 私の考え

 

立命館大法科大学院の松宮考明教授の主張には大きな問題がある。

 日本学術会議法は何度も改正されており、会員の選出方法は公選制から推薦制に変更されている。所管する組織も内閣府から総務省へと変更されたことがあった。

 同法は何度も変更が加えられており日本学術会議が政府から独立しているとはいっても政府管理下の組織にしか過ぎないことは明白である。

 日本学術会議法には日本学術会議が日本政府から独立した法人であるとは明記されていない。

 よって日本学術会議に対して内閣総理大臣は人事権を持っていると考える方が妥当である。過去の答弁での政府見解は全く有効では無い、何故ならば答弁後にも法改正が実施されているためである。そのため日本学術会議法に基づく政府の見解は過去の見解と異なっていても何ら問題は無いと考えている。

 

  憲法における『学問の自由』を侵害しているという意見についても否定するのは簡単である。そもそも科学技術会議などの他の組織では内閣総理大臣が議長を務めるなど既に政府の影響下での学問研究に関しては政府介入が行われており、これらが正当である以上日本学術会議への政府の介入も正当と考えるのが妥当である。

 

 また仮に学問の自由を侵しており違憲の場合は『第九十八条【憲法最高法規性、条約・国際法規の遵守】1この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。』により日本学術会議法自体が無効となり、日本学術会議自体が存在したことが違憲となる可能性がある。

 

しかし、学問の自由が侵されていても問題無いという方が正しいと言えるのではないだろうかとも私は考えている。というのも日本学術会議の人件費及び諸経費は全て政府負担である。つまり日本学術会議の会員は一般国民では無く公務員または準公務員であると考えれば憲法上で保障されている権利の一部は制限されているとも考えられるからである。

 

松宮考明教授の主張は政府が学者の研究に干渉するな!に尽きると思われるが政府の干渉が嫌なのであれば政府の干渉が及ばない場所で学問を研究して発表すれば良いことなので政府の予算が降りる機関で学問を研究する必要は無い、故に政府による日本学術会議への人事権行使は正当だと私は思っている。